研究内容紹介

  1. 乱流場におけるスカラ輸送・反応・燃焼機構の解明とモデリング
  2. 乱流場における粒子(液滴・気泡)運動機構の解明とモデリング
  3. 気液界面(大気・海洋間)を通してのスカラ(熱・物質)輸送機構の解明とモデリング
  4. ミクロスケールの熱流体現象の機構解明と応用
  5. 固体中のエネルギー輸送や界面熱抵抗の機構解明と応用
  6. 固体の熱ふく射特性の解明と熱エネルギー 有効利用への応用

1. 乱流場におけるスカラ輸送・反応・燃焼機構の解明とモデリング

数値シミュレーション(LES) レーザによる混合層流の可視化
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混合層流の数値シミュレーション(LES)(左)とレーザによる可視化(右)

混合層流の数値シミュレーション(LES)
中立成層における乱流混合の可視化写真 安定成層における乱流混合の可視化写真
乱流混合に及ぼす密度成層の影響(中立成層(左)および安定成層(右))
噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)
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噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)

噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)
航空エンジン内噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)
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航空エンジン内噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)

航空エンジン内噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)

航空エンジン内噴霧燃焼の数値シミュレーション(LES)

化学反応を伴う乱流場は,大気・海洋中で反応汚染物質が拡散する環境中の流れや,攪拌機,航空機・ロケットエンジンなど推進装置,およびガスタービンや蒸気タービンなどのエネルギー変換装置などの工業反応装置内の流れに数多く見られる.従って,運動量やスカラの輸送機構のみならず反応・燃焼機構を解明,さらにはそれらの進行を制御(促進および抑制)する方法を提案することは,流体工学的にも環境工学的にも非常に重要である.本研究では,特に液相反応やガス/噴霧/微粉炭燃焼を対象に,反応性物質の乱流混合・反応機構の解明とそのモデル化を行うことを目的としている(実施中のプロジェクト).

2. 乱流場における粒子(液滴・気泡)の運動機構の解明とモデリング

液滴の周囲における流動(DNS) 液滴の内部における流動(DNS)
液滴の周囲(左)および内部(右)における流動(DNS)
雲粒の衝突成長シミュレーション(DNS)
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雲粒の衝突成長シミュレーション(DNS)

雲粒の衝突成長シミュレーション(DNS)
液滴群の蒸発シミュレーション(DNS)
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液滴群の蒸発シミュレーション(DNS)

液滴群の蒸発シミュレーション(DNS)

気流中を運動する粒子の挙動を正確に把握することは,粉体の空気輸送や混合を伴う工業プラントの最適設計・制御などの工業問題や,砂漠、砂丘、さらには石炭堆積場からの粒子の巻き上げ予測・防止などの環境問題に関連して極めて重要である.また,局所的集中豪雨の発生を出来るだけ早くかつ正確に予測することによって人的・経済的被害を最小限に抑えることは,社会的要請の強い,急務の課題である.本研究では,これらの問題を解決する上で非常に重要となる,乱流場を飛散・運動する固体粒子や液滴・気泡の運動機構を,流体の乱流構造と関連づけて明らかにし,乱流場での粒子運動を正確に予測するための数値モデルを作ることを目指している.

3. 気液界面(大気・海洋面)を通してのスカラ(熱・物質)輸送機構の解明とモデリング

風波気液界面の数値シミュレーション(DNS):スカラ輸送 風波気液界面の数値シミュレーション(DNS):気液界面形状
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水槽風波気液界面の数値シミュレーション(DNS)スカラ輸送
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水槽風波気液界面の数値シミュレーション(DNS)気液界面形状
水槽風波気液界面の数値シミュレーション(DNS)
スカラ輸送(左)および気液界面形状(右)

人類による化石燃料の莫大な消費に伴って発生する炭酸ガス(CO2)等の温暖化物質による地球の温暖化が深刻な問題として取り上げられるようになって以来,地球の温暖化予測を正確に行うことが緊急の課題とされ,国家プロジェクトが推進されている.この温暖化予測には,大気および海洋の乱流中に現れる熱,物質,運動量の輸送現象を表す数多くのサブモデルから構成されるGCM (General Circulation Model)と呼ばれる大気・海洋結合モデルが使用され,大気・海洋乱流中の流体の運動方程式,熱および物質の輸送方程式をスーパコンピュータを用いて数値シミュレーションすることにより将来の温暖化に関するシナリオが描かれている.ところが,既往の気候モデルに使用されている個々の物理的サブモデルの妥当性が十分に検討されていないため,温暖化や局所的な気候変化の予測に大きな誤差が発生することが危惧されている.特に,陸・海・空の境界面での熱,物質,運動量の輸送量の評価は重要であるが,その評価モデルの信頼性は十分ではない.本研究では,このような気候モデルの不確定性の問題を打開するために,大気乱流や海洋乱流場に現れる熱物質輸送現象を解明するとともに,それらの乱流輸送現象を忠実に表現する物理モデルを構築することを目指している.

4. ミクロスケールの熱流体現象の機構解明と応用

液膜への噴流の衝突 局所加熱による各沸騰の開始 加重下の軟骨ゲル組織内部のエネルギー分布
液膜への噴流の衝突 局所加熱による各沸騰の開始 加重下の軟骨ゲル組織内部の
エネルギー分布

液体が蒸発する,過飽和蒸気から液滴が生成する,過熱液体中に気泡が生まれる,液体が気体を吸収する,といった流体相変化現象はよく知られており,さまざまな工学分野で重要である.こうした相変化をマイクロスケールや分子スケールで調べることで,熱工学・化学工学などの基礎輸送現象の解明をおこなっている.最近のテーマの例として
 ・液体がマイクロヒータで強く加熱されて生じる核沸騰のシミュレーション
 ・微小液滴の固体壁面への衝突と乾燥過程のハイブリッドシミュレーション
 ・高圧下で急激に収縮するマイクロ気泡のハイブリッドシミュレーション
 ・液体噴流(ジェット)が薄い液膜に衝突する際の液膜の変形のミクロシミュレーション
 ・関節軟骨の低潤滑機構を解明するための粗視化シミュレーション
 ・平板の間に挟まれた擬2次元液体の蒸発過程の実験とモデリング
 ・温度変化による液晶相発現の分子シミュレーション
など,さまざまな課題と取り組んでいる.

5. 固体中のエネルギー輸送や界面熱抵抗の機構解明と応用

ナノスケールの温度分布 Si/SiO2の界面構造
ナノスケールの温度分布 Si/SiO2の界面構造

コンピュータチップなど半導体素子の小型化・高性能化に伴って,単位面積あたりの発熱量は増加の一途をたどっている.固体界面による熱伝導の阻害を解決し,また温度差から電力を取り出すことのできる「熱電変換素子」の性能を向上させるために,ナノスケールの構造をもつ固体材料中のエネルギー輸送機構を研究している.下図は,代表的な半導体材料であるシリコンとその酸化物や炭化物などの界面を分子スケールで調べた例,およびエネルギー輸送を担うフォノンの伝搬を追跡した例である.

6.固体の熱ふく射特性の解明と熱エネルギー有効利用への応用

物質の表面から放射されるふく射の電磁波シミュレーション
物質の表面から放射される
ふく射の電磁波シミュレーション
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物質の表面から放射される
ふく射の電磁波シミュレーション

高温のエネルギー装置や薄膜プロセスでは,ふく射伝熱の評価が重要なキーの1つである.この研究では,物質の表面がどのような波長のふく射をどれだけ放射し,あるいは吸収・反射するかをエネルギーに注目して調べている.これにより,捨てられてしまうことの多いふく射エネルギーを有効に利用する道が開ける.広波長域高速ふく射スペクトル測定装置や電磁波伝搬の数値シミュレーション手法を開発し,実験・理論両面からふく射特性の研究を進めている.